皆様、こんにちは、和田和園です。
今回は再び伝統俳句の様式で、夏の句の第二弾をお届け致します。
【千百メートルの盆】
和田家の盆は七月なり (三句)
1 目にしみる迎える夕べや百合の花
2 ひとときをわが家に過ごす先祖かな
3 先祖ゆく森にひびくや宵の歌
亡父よぶ庭に百合咲く夕べかな
火を焚けば先祖登るや夏の星
蜩や父の愛せし庭の百合
(あえて季重なりです)
山百合や暮れゆく森の声満ちて
先祖還る森にひびくや暮れの歌
先祖ゆく森に煙るや夏の星
(七月盆の家は門火、迎火、送火の季語を使えず、俳句を作る上で誠に制約多く不自由なり。百合は亡父の好きだった庭に咲く白百合なり、決して花瓶の花に非ず。また同じく蜩も夏に使えず甚だ不便なり。実際に寒冷地の森で蜩が鳴くのは七月にて秋に非ず。送火の蜩の音響効果を「宵の歌」とするなり。)
正岡子規氏の「病牀六尺」の中に、
「⚪︎七月十一日。晴。始めて蜩を聞く。
梅雨晴や蜩鳴くと書く日記 (七月十五日)」(ワイド版岩波文庫、p.106)
という一節があります。
明治35年の根岸では、7月に蜩が鳴いていたという事実とともに、季重なりであることをも含めて、この句をどのように考えたらよいのであろうか?
4 小野上や田植始まる芒種かな
(目の前の実際の風景そのものなのですが季重なりです。小野上は渋川市にあります。)
5 野茨(のいばら)や清楚で可憐薫りよし
6 今朝もまた目覚めし我と花いばら
とどのつまり
7 自生種の強さ際立つ夏の庭
六月十三日
8 甥来たる幼き子連れ桜桃忌
「女生徒」を読みて
9 山形の坑夫がくれし百合の花
(僕が太宰さんの作品に惹かれるのは、世によく言われているところのいわゆる無頼派、破滅型、デカダンスなイメージとは違ってと言いますか、むしろその真逆で、その作品の中に明るさや逞しさを感じるからです。諧謔、ユーモア、滑稽、笑い、皮肉、機知、ウィット、ペーソス等々を感じるからです。僕にとってのこれまでの No.1 作品は常に「津軽」でしたが、奥様の書かれた「回想の太宰治」(講談社文芸文庫) を読んでから、「新釈諸国噺」次いで「お伽草子」ときまして、この人は天才としての能力の桁が違うなと思い、さらにこの「女生徒」はすごい!才能が爆発していますね、ものすごくヨーロッパ的なものを感じます。「葉桜と魔笛」どうですか!「きりぎりす」こそは必読の作品なのではないでしょうか。次は「パンドラの匣」にいきますが、なにゆえ太宰さんと言えば、すでに僕が子どもの頃から、まずは「人間失格」という判で押したような紋切り型なのでしょうか?まずは「お伽草子」という出版業界の大変革は今後もなされないのでしょうか?少し長くなりましたが、今日はお命日ですのでご勘弁。注:桜桃忌は毎年六月十九日に修されます。)
10 鳥集い舞いて騒がし桜の実
11 実桜や鳥を養い落ち果てり
(聖書の一節を思い出します。)

12 結葉や空にモザイク描きけり
結葉の空にコラージュ描きをり
結葉や空のモザイク動きをり
(関連作品として昨年11月の『第1回「俳句を詠み始めて」(処女作品)』の中に「キャンバスを使い切りたる空の人」。ここは「描きをり」「動きをり」の森の現在進行形のライブ版でいくよりも、「描きけり」で完結してしまった方がいいように思ったのですけれども、それには僕の個人的な性格もあるのかな?でもここはあえて完了形でいきたい。)
13 理由(わけ)もなく心落ち込む茂りかな
理由もなく心沈める茂りかな
心ふと沈みゆく日の茂りかな

14 我が庵(いお)の宵に浮かびぬ額の花
我が庵の闇に浮かびぬ額の花
我が庵に白く浮き立つ額の花
我が庵に今年も咲きぬ額の花
(平板な挨拶句)
八株の自生種強し額の花
15 夕闇に浮かぶや白き額の花
16 石楠花や誰(た)にも知られず咲きにけり
ショートステイ中
17 梅雨寒や独り座りし母の部屋

18 梅雨寒に独り祈りし神社かな
ひっそりと梅雨の神社に我ひとり
(無人の神社にいることほど、心が落ち着くことも他にはあまりないように思います。そして、この地域にはパワースポットのような実に素晴らしい神社がたくさんあります。そして、そのような神社ほど実際は派手なところもなく、あまり目立ちません。やっぱり、日本人は全国津々浦々、草深いところほどまずは先に神への信仰ありきで、その後、次第に仏教が全国に浸透していったのではないのでしょうか?写真は応桑諏訪神社です。)

19 二年目に初めて会いし薔薇の花
(薔薇がお好きな方はよくご存知だと思いますが、新苗を植え付けた場合、株を太らせて大きくするために、一年目の花は蕾の時点で必ず摘み取ります。そのため二年目にして初めての花との面会となります。今年も5株の薔薇の花との初対面がありました。写真はつるバラの群舞です。初案は上五「二年(ふたとせ)」でしたが、最終案は普通に「二年目」にしました。同じく初案は中七「初めて咲きし」「初めて咲きぬ」。中七「会いし」に「愛し」を掛ける。)
20 梅雨晴やどこか遠くの草刈機
21 屋根たたく雨に目覚めり梅雨の夜
雨降れば雨に眠れぬ梅雨の夜
ワールドカップ
22 異次元の白夜の夢かハーランド
北欧の白夜を祝うハーランド
この夏の異次元なりしハーランド
ハーランド夏の夢来ぬ規格外
23 切り札や老いたる母の水羊羹
切り札の母を養う水羊羹
あれもだめこれも食べれず水羊羹
24 義実家の暑さ届けるなすび哉
丸茄子や実家の朝を運び来ぬ
25 バス停の大空狭し夏燕
26 子を思ひ飛び交ふ空や夏燕
子の為(ため)にどこまで飛ぶや夏燕
幾度(いくたび)も餌をくわえし夏燕
日に何度餌を運びぬ夏燕
七月十一日夕刻
27 鶯や仕舞いの声を聞かせけり
28 一日を赤紫蘇洗い過ごす妻
29 梅を干す妻が使いし母の笊
30 潔し今朝の蕾や花菖蒲
(初案は上五「凛として」。)
今朝までの莟(つぼみ)開きぬ花菖蒲

31 群れ咲きて岡虎尾(をかとらのを)の白き波
32 虎尾草(とらのを)の波の揺れあふ夕べかな
虎尾草のうねり激しき我が庭よ
虎尾草の波打つ大地のうねりかな
2026年7月19日
和田和園











