第5回俳句「冬五十句」(立冬より立春まで)『寒月や雌猫照らすかぐわしさ』『吹き飛んで生まれ変われや冬の森』

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , on 5 February 2026 by kenwada

皆様、こんにちは。
こちら北軽井沢は、毎朝の愛犬喜久との散歩(と言いますか、現実的にはほとんど雪の中の行進に近い感じですが)の折に、降り積もった雪の上に、くっきりと残った野生動物の足跡を見る僕の一番大好きな季節を迎えております。
いくつもの足跡が交錯していて、種類もそれぞれ違いますので、朝から神秘的な光景が展開されています。
しかし、いいですねえ〜、何もかもが雪の下に埋もれたこの塵一つない清潔感、清涼感、しーんと静まり返った冬の森・・・。
このままずっと厳しい冬が続いてくれればいいのに、春なんか来ないでくれたらどれだけ幸せだろうかと、毎年のように切に願います。
さてさて、一句で構いませんので、どうか皆様の心に響きますように・・・。

▶︎「冬の生活」

萱の雪遠くの雲に烏鳴く
(冬の夕暮れの情景を詠みました。季語:雪、冬。)

いずまいを正して一羽寒鴉
(季語:寒鴉、冬。)

雪化粧天の玉座か浅間山

雪明かり闇を切り裂く猫の声
(季語:雪明り、冬。)

猫鳴けば冬となりたり縁の下
(今ではどの家も土台の基礎をコンクリートで固めて建てますので、そもそも縁の下のある家自体が非常に珍しくなりましたね。我が家は昭和5年に建てられた今年で築96年になる平屋です。その家を改築して住んでいますので、我が家には昔ながらの床下があります。季語:冬、冬。)

雪掻きや今ごろ熊はどこにいる
(季語:雪掻、冬。)

冬浅し熊を知らせる無線かな
(季語:熊、冬。)

無線なり熊鈴持って歩き出す
(昨年は町内の防災無線が本当によく鳴りました。我が家の近くでも熊の目撃情報が相次ぎました。)

粉雪や人にやさしくふりにけり
(一月の雪かきは本当に楽です。問題は三月、四月の湿った雪で、僕はこれでも結構体を鍛えている方なのですが、去年は特に重たくて幅1mくらいの手押し車のような雪かき用具、あれなんて言うのですか、それを持ち上げられない時があり、普通のスコップで雪かきをしました。まあ、そうは言いましても、ニュースを聞いていますと、新潟県や青森県の方たちからみたら、こんなのは雪とは言わないとか言われそうですけれども。季語:粉雪、冬。)

大雪や車を出せず孤立かな
(これは本当に冗談にならないのですが、我が家のまわりは除雪車が入りませんので、毎朝のように人力で必死に雪かきをしても、ほぼ毎年のように三日から五日間ほどは車が出せなくなります、いわゆる孤立状態です。季語:大雪、冬。)

除雪車のかすかな音の目覚めかな
(まだ夜明け前、あれは県道からでしょうか、どこか遠くの方から除雪車の音がまるで地鳴りのように枕元まで届きますと、ああまた雪が降ったな、朝から雪かきだな、どのくらい積もったのかなと思います。この音は雪国の人にとっては、お馴染みの音とでも言いますか、もはや冬の風物詩なのではないでしょうか。季語:除雪車、冬。)

厳寒や凍る窓見る湯浴みかな
(季語:厳寒:冬。)

焼酎と薪ストーブの至福かな
(季語:ストーブ、冬。)

薪はぜて真冬の夜は静かなり
(季語:真冬、冬。)

ストーブと犬の寝息の冬の夜

あるもので寄鍋楽し我家かな
(季語:寄鍋、冬。)

忙しや大雪前の枝作り

雌鶏や早く水飲めすぐ凍る
(季語:凍る、冬。)

木星とベテルギウスの枯木星
(季語:枯木星、冬。)

凍星や故郷戰の安青錦
(季語:凍星、冬。)

寒月や雌猫照らすかぐわしさ
(季語:寒月、冬。)

天に月地に雌猫の宵の冬

国芳の猫が来たりし冬の背戸

雪どけの軒のしずくが雪穿つ

吹き飛んで生まれ変われや冬の森

凩や森の剪定終えて去る

木枯よ森であばれて森つくる
(季語:凩、木枯、冬。)

大寒や朝から風の吹く日なり
(季語:大寒、冬。)

木漏れ日の冬の画室にひとりかな

冬ざれや泥濘に立つ牛五頭
(嬬恋村鎌原に牛を放牧している牧場があり、そこの冬ざれの荒涼たる風景はとんでもなく美しいです。思わずゴッホのオランダ時代の絵画に出てくる風景を思い出しました。季語:冬ざれ、冬。)

枯草の音が揺れてる日暮れかな
(季語:枯草、冬。)

廃屋の趣ふかし枯芒
(季語:枯芒、冬。)

牛小屋に舞ひて楽しや寒雀
(寒雀が舞うと言いましても、十羽や二十羽の話ではないのです。それこそ百羽、二百羽の雀がとても元気に忙しそうにしています。場所は第2回でもご紹介しました長野原町大屋原にある牛舎です。初案は中七「群れて楽しや」。季語:寒雀、冬。)

白鳥やふるさと想う避寒かな

白鳥の白き花咲く日暮れかな
(長野原町立浅間小学校の横にある応桑貯水池に毎年冬になると白鳥と鴨がやって来ます。ある年の冬には白鳥が五十五羽飛来して壮観でした。今年は四羽のみで少し残念でしたが、白鳥はシベリアを発って一旦北海道を経由してから渡ってくるそうです。白鳥にとっては、この地の冬がとても暖かいのですね。季語:白鳥、冬。)

ぎょっとして森も歯軋り冬木立
(これは実際に聞いたことがありますか?頭上高いところで木々が擦れ合って、静かな森の中でぎいぎいと突然大きな音を立てるのです。それから、森の中に住んでいると時々人の声がします、本当です。季語:冬木立、冬。)

青空に白い雲雪枯木道
(季語:枯木道、冬。)

赤松の赤みとろかす冬日かな
(季語:冬日、冬。)

瓜坊は吹雪く方へと逃げ去れり
(季語:吹雪く、冬。)

瓜坊よ通せん坊は妹のため
(無季俳句。)

猪の走り立てしや雪煙
(季語:雪煙、冬。)
(森の中に住んでいますので、猪との思い出は数限りなくあり、もうちょっとなんて言ったらよいのかわからないくらいなのですが、今までにどうみても、喜久との散歩の時を含めまして、少なくとも100回以上は猪に遭遇していると思います。
ある年の冬だけ回数を数えていたことがあるのですが、22回だったことをよく覚えています。
今年で13回目の冬になりますので、うん?100回なんてもんじゃないんだな、猪には春から秋にかけても当然出会いますし、猪も大きいのになると、それこそ子牛くらいは優にあります。
中でも忘れられないのが、厳寒期の瓜坊三兄弟との思い出で、ご存知のように野生動物の親は子どもを早く放しますので、この三兄弟には何度か出くわしましたが、冬なので食べ物もないし、もう生きていくのに必死な感じでした。
一度、道でばったり鉢合わせをしてしまったことがあり、瓜坊にもリーダーがいるのですね、僕に向かって低い声で唸って威嚇しながら体を張って、残りの二頭を逃がして、僕を睨みつけて目は前を向いているのに、妹や弟はもう十分逃げたな、距離的に大丈夫だなと察知した瞬間、パッと反転して彼らのあとを全力疾走で追った時には、こいつはすごい奴だなと思い感動しました。
そうは言いましても、ある夏に七日間連続でそれまで丹精込めて育ててきた庭の花壇をめちゃくちゃにされた時には激怒しましたが、猪は壊す時の節度が、本当に全くと言っていいほどないんですよね、完璧なまでにやられます(笑)。
それから、野生動物はすごく頭がいいですね、亡父が白い百合が好きでしたので、球根を50球植えましたが、47球食われました、チューリップも球根を食われますが、水仙は絶対に食べません。
レンゲツツジなどこの辺りで繁茂できるのは、有毒植物の場合が多いです。
まあ、僕はプロの農家ではありませんので、こうして呑気なことを言っていられるのでしょうが、それでも駆除してしまえとだけはどうしても思えません、冬の間の姿を見ていますから。)

銃声が五発聞こえた秋の昼
(季語:秋の昼、秋。)

親死んでこの雪踏みし親の子よ
子が死んでこの雪踏みし親の孫
親の孫つくりし命ひ孫かな
  昨日瓜坊に出会う
われ出会う瓜の命はひ孫の子

鷹下りて雌鶏やられ対峙する
(下五「対峙」に「退治」を掛ける。季語:鷹、冬。)

大鷲よ空の王者の泳ぎかな
(季語:鷲、冬。)

凍てついた雪の石段初詣
(季語:初詣、新年。)

狐きて雌鶏さわぐ午前四時
(季語:狐、冬。)

こんこんは真っ赤な嘘の狐かな
(狐の鳴き声を実際に聞いたことはありますか?)

味噌搗きやことしも妻をながめたり
(妻曰く、今年は結局、大豆九升分、重さにして約四十七キログラムの味噌を作ったそうです、すごいなあ、尊敬します。季語:味噌搗、冬。)

さみしけれいまわのでないおおみそか
(季語:大晦日、冬。)

湯屋帰り犬の散歩の湯ざめかな
(季語:湯ざめ、冬。)

犬を飼い大和撫子教えられ
(無季俳句。)

▶︎「猫の三兄弟」
(いずれも無季俳句です。)

上と下真面目純真敷地出ず
(兄のもみじと弟の雷は、朝、庭に遊びに出てから、夕方、家の中に入れてもらうまで、家の敷地の中でおとなしくしています。もみじは弟の雷の面倒を本当によくみます。雷にとって、もみじはかっこいい憧れのお兄ちゃんで、もう見ていておかしくなるくらい、とにかく何でもとりあえず、お兄ちゃんの真似をしようとします。そして夕方になると犬の喜久の散歩に二匹して必ずついてきます。)

まん中はおてんばむすめ五連泊
(真ん中の楢はもう子猫の頃から御転婆でした。また、三兄弟の中で体は一番小さいのですが、ずば抜けて頭がよく、人間の話していることは、ほぼ理解している感じがします。時々、何か一人?でぶつぶつと言っています。性格は非常に個性的で、何かと言うと「わたしは、ちゃんとした、じりつしたおんなだから。」が口癖です。また運動神経が抜群で足も速く、もみじは兄弟喧嘩をして追いかける時、この妹にかけっこで追いつけないのが腹がたってしょうがない感じです。
以下の話はこの楢に起きたことで、全て実話です。
以前から猫を飼いながら神秘的な動物だなとは元々感じてはいたのですが、このことがあってからというもの、人知でははかり知れないものが猫にはあるなと思い、認識をあらたにしましたと言いますか、少し怖くなりました。
ある日、夕方になっても楢が帰って来ないので、心配してこの辺りを探して回りました。
結局、その日、楢は帰らず初めての外泊で、二日目も帰らず、三日目、四日目も帰らず、この辺りには野生動物も多いので、僕は本当に気が狂うくらい心配して、もう足が棒になるくらい「楢、楢」と呼びかけながら、毎日森の中を探して歩きましたが、楢はついにいませんでした。
五日目は眼科の予約が入っていましたので、僕は早朝から高崎まで行かなければならず、まさに後ろ髪を引かれる思いでしたが、この時点で正直なところ、もう楢はだめかもしれないな、もう会えないかもしれないなと感じ、暗い気持ちで眼の治療を終え、いつもの高崎のホテルに泊まりました。
そして早めに寝た六日目の朝、午前4時頃だったと思うのですが、楢が夢の中に出てきたのです。
「お父さん、私はTさんちにいるからね、かならずむかえにきてね、Tさんちへのいきかたはね、かってぐちを出て、右へまがって、また右へまがって、こうこう・・・。」
そこで僕は「そんなこと言われなくたって、Tさんの家の場所ならよく知っているよ!」と叫びながら、がばっと起きたのです。
それからあとはもう一睡もできず、朝一番でホテルの朝食をとり吾妻線に乗って、午前11頃には我が家に着きました。
妻に楢が夢に出てきたことを簡単に話して、早速、飛び出すようにして、楢の言っていた道順で探しに行きました。
なんとなく、楢が順路を指定してきたので、その途中のどこかにいるような気がしたのです。
でも楢はいなくて、これはだめかなと思ったまさにその瞬間、楢の呼ぶ声が聞こえたんです。
楢はいたんです、まさしくTさん邸に!
正確にはTさん邸の隣の薮の中にいたのですが、この広い森の中で、それはわずか2、3mの違いです!
う〜ん、このピンポイントにはかなり驚きました。
もう思い切り抱きしめて、「楢、楢」って、「楢がいたぞー!」って叫びながら、抱き抱えて家まで走って帰りました。
「お父さん、ごめんね、わたし、すいじゃくっていうの、しちゃったのよね、いえでして、ちょうしにのってて、いちにちめ、ふつかめは、だいじょうぶだったんだけれど、みっかめから、きゅうにすいじゃくっていうの、しちゃって、うごけなくなっちゃったのよね。」と楢は言っていました。
その日から今日まで楢の外泊は一度もありません。
家出した理由については楢は後日「お兄ちゃんのあいが、あんまりおもかったのよ。」と言っていました。
兄のもみじは生まれた時から今日まで、もうこれは本当に徹頭徹尾、心から妹の楢だけが好きで、他の雌猫なんて、そんなもんは最初から女じゃない!という感じで、ついに今日に至るまで一切一度も振り向きもしませんでした。
まさに一瞥もくれないという感じです。
これは雄猫の世界ではかなりめずらしいことですね。)

2026年2月4日 立春
和田 健

Today’s Drawing Two Photos on February 1st, 2026,

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 2 February 2026 by kenwada

India ink on paper, each 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Untitled 2026 No.1

Posted in Works 2026 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , on 31 January 2026 by kenwada

無題 2026 No.1
2026年1月
北軽井沢 作品 No.599
紙に墨 (4枚)
各 42.0×54.0 cm

Untitled 2026 No.1
January 2026
Kitakaruizawa Works No.599
India ink on paper (four pieces)
each 16.5×21.3 in.

Sans Titre 2026 N°1
janvier 2026
Kitakaruizawa Œuvres N°599
Encre de Chine sur papier (quatre pièces)
chaque 42.0×54.0 cm

Today’s Drawing Photo on January 29, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 30 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 28, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 29 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 27, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 28 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 26, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 27 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 25, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 26 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 24, 2026

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India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)

Today’s Drawing Photo on January 23, 2026

Posted in Essay 2012-2026 with tags , , , , , , , , on 24 January 2026 by kenwada

India ink on paper, 16.5×21.3 in. (42.0×54.0 cm)