Archive for December, 2018

来年僕は、触感上の妥協を呪文へとつなげられるか

Posted in Essay with tags , , , , , on 29 December 2018 by kenwada

年末、Dear Grid Worker No.7, 8, 9, 10 (今回のテーマは白と黒)の
4枚の制作の追い込みに執念をかけましたが、結局仕上がらず。
年明けに持ち越しとなりました。
でもNo.7 と8 はほとんどサインしてもよいところまでこれましたし、
まあいいんじゃないでしょうか。
何よりも描いていて楽しかった。
絵画は非常に回転が速いから、そのめくるめくようなスピードに
脳がついていくのが大変です。
つまり変化していく色と形を認識するのにどうしても時間がかかります。
これでよいのか (残すのか)、あるいはつぶすのか、判断するためにです。
そこを急ぐと必ず失敗します。
性急さと熱意は常に失敗の根元になります。
つまり芸術家は情熱がある方が誰でもより多く失敗するという逆説的かつ基本的・初歩的な問題に直面し、これをどのようにとらえたらよいのか悩むことになります。
いずれにしましても芸術家の世界は常に一瞬足りとも油断したら終わりですので、この追い込みで何とかいい形で2019年に入れそうです。

年末年始は、今続けているW.H.Auden の詩の読み込み (先日1929を読み終わりました、第Ⅳ章の最初の10行、特にthe loud madman とfalling children の絡みはとてつもなく美しい!問題の核心はこのfalling の一語です、これをどう訳す、理解する、解釈するか)と、聖書の読み込み (同じ節を新共同訳→NASB→KJV→仏語訳の4冊を回し読みすることで、何とか原語の意味を推測・とらえようとする試み、少しずつ進めてマルコによる福音書13章まできました)に没頭しようと思っていましたが、急に「グレン・グールドは語る」(ちくま学芸文庫)にとりかかりました。
この本は非常に面白い!
「完全性は、ピアノから離れてさえいれば理論的には獲得可能です。ピアノに向かった瞬間、触感上の妥協を強いられ、完全性の程度は下がります。そして必ず妥協点を見つけることになりますが、理想を追求した分だけ妥協しないで済むのです。」(p.45)
ピアノから離れてさえいれば・・・・
ピアノから離れてさえいれば・・・・
絵画から離れてさえいれば・・・・
う〜ん、これは年末に大きな大きなというか、偉大なヒントが来たな、絵画は必ず妥協点な訳ですが、キャンバスに向かった瞬間、触感上の妥協を強いられるため、それは具体的には筆であったり、絵の具であったり、画布や紙の表面のざらつき具合 (目のあらさのこと)であったり、あるいは自分の指・手首・肩等の関節のなめらかさの状態 (あたたまり具合)であったり、う〜ん、・・・・わかった!これ程偉大なピアニストがこんな原点的なことに呻吟していたのか、これとBruno Monsaingeon が1981年に撮影した映像番組のYouTube のセットで徹底してつかもう、ここ。これらの障壁を少しでも取り除くためには、おそらく直観的に呪文的要素ということが核心になる。僕が毎日毎日考えていたこと、絵画を支配・コントロールしない、絵画は支配ではない、絵画に奉仕、仕えるということ、色と形に寄りそうということ、つまりは聴くということ!そしていかに心を静かに保ち、心のギアをニュートラルに入れた状態で描き始める、発進させられるか!その時が来たら、メモを取っておくこと、例えば少し眠い時くらいの方が心のギアがニュートラルに入りやすい (多少気合が抜けるため)、逆に20分程度の昼寝の直後、たくさん庭仕事をした後 (一見関係ないことで疲れた後にチャンスが来る)、来客の後 (ざらついた気分からすっとニュートラルに入れることがある)、等々。

それでは皆様にとって来たる2019年が素晴らしい年でありますように!
どうぞよいお年をお迎え下さい。

2018年12月29日
和田 健

P.S. 写真は2018年12月15日のアトリエ風景です。
その後、これらの4作品は何度も否定されその形を大きく変えていきました。

Dear Grid Worker No.6

Posted in Recent Works 2018-2019 with tags , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , , on 1 December 2018 by kenwada

親愛なるグリッド労働者 No.6
2018年11月
北軽井沢 作品 No.362
画布にアクリル
80.3×65.2 cm

Dear Grid Worker No.6
November 2018
Kitakaruizawa Works No.362
Acrylic on canvas
32.0×26.0 in.

Cher Travailleur Grillé / Chère Travailleuse Grillée N°6
novembre 2018
Kitakaruizawa Œuvres N°362
Acrylique sur toile
80.3×65.2 cm