第8回俳句「春40句」『薄氷を割って楽しやランドセル』

皆様、こんにちは、俳句歴5ヶ月半の初学者、和田和園です。

僕の俳句は、なにしろ普段から森の中で暮らしていますので、師匠などもいませんし、ましてや俳句教室や句会などがある訳でもなし、言わば全くの独学です。
でも、僕に言わせましたら、一人の人間が一生を生きるという人生という行為そのものが、まずは全くの独学です。

僕の俳句の場合は、直感的にまずはここをクリアしないと、前には一歩も進めないなと思い、近代俳句の革新者である正岡子規の以下の6冊を、まず最初に熟読して基礎基本となる土台を固めました。
と言いましても、別に「子規全集」を読破したとかではありませんが、これは大変な世界に来てしまったな、こんなに俳句が厳しい真面目なものだとは知らなかったなというのが正直な感想でした。
読んだ本は、読了した順に、
「仰臥漫録」(岩波文庫)
「俳諧大要」(岩波文庫)
「歌よみに与ふる書」(岩波文庫)
「墨汁一滴」(ワイド版岩波文庫)
「病牀六尺」(ワイド版岩波文庫、この中の「渡辺さんのお嬢さん」の話 (p.159) には、僕は完全にしてやられました。)
「正岡子規スケッチ帖」(岩波文庫)
です。

それから、個人的なことになりますが、僕が敬愛する父方の祖父は愛媛県大洲市の出身で、そのため僕の本籍地は言わば祖父の大切な形見として、今でもそのまま大洲市にあり、すなわち和田家のルーツは大洲にあり、僕の父方の曽祖父は1862年の生まれで、曽祖母が1868年の生まれですので、現在の松山市に1867年に生まれた愛媛県人の正岡子規に、僕は誠に勝手ながら、なにか不思議な親近感のようなものを感じました。
野球に大変熱中された方でもありましたし、相撲の句も作られていますのでお好きだったようです。
僕にとりましては、正岡子規はまさしく曽祖父母の時代の方であり、そんなに何代も前の遠い昔の方ではないのですね。
また、「仰臥漫録」の中には、祖父が生まれた明治34年のまさにその当日の病牀日録が含まれていて、大変関心をもちました。

しかしそれにいたしましても、死を目前にしての、大病の果ての病牀における、一人の人間としてのまるで鬼気迫るようなこの凄まじいまでの気迫、覇気、写生に対する異様なまでの集中力とは、いったいなんなのでしょうか?
これには、実に様々なことを深く考えさせられましたが、昨年9月で没後123年が経過していますので、この尋常ではない気力、執念につきましては、すでに文学者の間で研究し尽くされていることと思いますので、今現在の専門家のこの問題に対する共通認識や見解について、是非とも学びたいです。

ともかくも、大変な世界に入り込んでしまいましたが、僕は僕なりに、これからも楽しんで俳句に精進していきます。

それでは、北軽井沢の森を中心とした春の句の第二弾をお届けいたします。

1 薄氷(うすらひ)を割って楽しやランドセル

2 凍解(いてどけ)や朝日をうけて波うてり

3 凍解や去年(こぞ)の名札を倒したり

4 春泥や足の踏み場もなかりけり

5 軒先の雪解雫(ゆきげしづく)が土穿つ

家の近くの崖の上に立ちて (三句)
6 眺むれば大蛇となりし雪解水(ゆきげみづ)

7 眺むれば春の水音やさしけれ

8 眺むればやさしい音の春の水

家の近くの渓流(片蓋川)に降り立ちて (三句)
9 春めきて小川の音のやさしけれ

10 谷川の北側にのみ雪残る

11 残雪や北側のみの小川かな

12 雨垂れや静かなりけり春の雨

13 朝靄雫にたまる朝日かな

毎年、なにゆえにそう思うのだろう
14 用足せばトイレの窓に春来る

15 夕雲や青饅(あをぬた)食えば鴉鳴く

16 菜飯食べ話の多い二人かな

17 ふき摘んで味噌和えうまし我家かな

18 あの頃に帰りたくなるプランタン

19 自転車で描いて回ったマントノン

20 アカデミー扉を押した時のこと

アルトソウル教授へ
21 先生に会いたくなりし春の暮

22 人の愛試されている春の暮

23 春場所のゲストうれしや岡田さん

24 古民家の屋根の重さに眠りつく

25 縁側や昔くつろぐ祖先かな

26 薪風呂や沸きたる湯こそやさしけれ

27 難病の友に送りし絵画かな

四月三日大安晴、去年四月に買い求めし苗があまりに貧弱であったがため、一年間鉢で大切に育てた苗を地植えする
28 寒さ耐えようやくこの日紫木蓮

母の見舞いにいただいた切り花に惹かれて
29 夢描く啓翁桜の挿し木かな

30 パンジーの黄色にもらう元気かな

高崎の眼科にて、ここは眼病患者の人生の縮図なり (二句)
31 お父さんこっちこっちと妻が呼ぶ

32 ただそっと妻の手をひく夫かな

四月七日午後、雪になる
33 入学の午後に雪舞う親子かな

34 そっと踏みそっと愛でけり春の霜

四月八日朝、狂人をとりあえずとめたパキスタンのシャリフ首相に
35 人をまだ信じられた日花祭

四月十一日正午過ぎ家の近くにて、ニホンカモシカは国の特別天然記念物なり
36 かもしかと見つめ合いたり春の森

四月十二日、高崎市浜川体育館にて大相撲観戦 (四句)
37 高崎の春巡業や楽しけれ

38 春の朝ぶつかり稽古朝稽古

横綱土俵入りがともに雲龍型のため、せり上がりの美しさの違いが一目瞭然なり
39 春告げる両横綱の土俵入り

40 弓取を見届けてつく家路かな

2026年4月19日
和田和園

Leave a comment