第1回「俳句を詠み始めて」(処女作品) 初秋から晩秋にかけての55句『鶏三羽寄り添い語る在りし秋』

皆様、こんにちは。
突然ですが、今月に入り、俳句を少し作ってみました。
どうして突然俳句を作り始めたのか、その理由はよくわかりません。
ただ、俳句を作りたかったのだと思います。
なにしろ62才になって生まれて初めて作った俳句ですので、自分でもよいのか悪いのか全然わかりません (笑)。
一応、基本的な環境だけご説明させていただきますと、我が家は人里離れた標高1100mの森のなかにあり、庭は楢の高木に取り囲まれていまして、ちょうど今、大量の落ち葉の季節を迎えています。
これからの季節は薪ストーブが必需品で、冬の間、大活躍してくれます。
そんな我が家の庭の情景や日常生活を俳句にしてみました。
また、1匹の柴犬や、この森のなかで生まれた猫の3兄弟 (兄、妹、弟)、かつては15羽いましたが今は3羽になってしまった雌鶏たちも大切な家族です。
それでは、どうぞお楽しみくださいではありませんね、俳句歴10日のど素人です。
どうぞお笑いくださいませ。

楢紅葉風と旅する青い空

枯れ果てて黒き草木(そうもく)秋の霜

秋の葉に色の組み方教えられ

足裏でそっとあやまる楢の実に

庭の水ひねって出ない秋の朝

薪小屋を見るたび思う冬支度

台風に大枝小枝ただもらう

薪減りて妻と拾いし枯れ枝を

鶏三羽寄り添い語る在りし秋

雌鶏が飲み水飛ばす秋の雲


秋深し手を合わせては草を刈る

さあ生きよ飛べよ舞い散れ秋の野に

明日には役目を終える秋の草

政治家が説くより平和猫の暖

(毛色や性格も違い、その上、親までもが違うのに我が家の猫の三兄弟が、今日も小さな一枚の座布団に寄り添い合って仲よく寝ているなあ。それに比べると人間は、やれ人種だ、やれ宗教だと言っては、戦ばかりしているなあ。ああ、人間のなんて愚かなことよ。)

男前心優しき秋男
(我が家の猫の長男もみじは、かなりの美男子です)

小次郎にどこか似ているもみじかな

廃校のチャイム届けし秋の風

ざわざわと舞いさくさくと踏む落葉

立ち枯れの秋向日葵に息をのむ

秋烏浅間白根に耳すます

秋香る朝の味噌汁りごうぼう
(地元で、りごぼう、りごうぼう、じごぼう、じごうぼうと呼ばれている秋の森のきのこは正式名をハナイグチと言い、これをたっぷりと入れた毎朝の味噌汁は本当においしいです。我が家のソールフードといったところでしょうか。ちなみに味噌も妻の手作りです。)

森乾き喜久と拾いし秋終わる
(喜久は我が家の柴犬の名前です。落ち葉の季節になり、森が乾燥し始めると、おいしかったきのこの季節も終わりです。今年もいっぱいありがとう、家計をたくさん助けてくれました。春の山菜とともに我が家を養ってくれている森に感謝です。)

喜久姉(ねえ)と猫三匹の秋の道
(喜久の散歩に、猫三兄弟があとをついていくので有名です。)

はらはらとはらはらと秋散り積もる
(ああ、はらはらとはらはらと秋が散っては積み重なっていくことだなあ。)

▶︎先日、若山牧水の「吾妻の渓より六里が原へ」という紀行文を読んでいて、この非常に印象深いエピソードについて初めて知りました。
我が家の近くに位置する応桑の集落で、実際に当時起きた出来事を句にしてみました。

牧水に銭投げつけし秋の人

▶︎2025年9月に平塚の海を一人で訪れた時の思い出を詠んでみました。

秋告げるビーチバレーの乙女たち

流木と卵を食らう秋の浜

鰯雲蟹が顔出す袖ヶ浜

▶︎俳句を作りながら、次第にこの季語という制約や束縛に疑問をもち始めました。
まるでそれは、僕には檻に閉じ込められた動物の気持ちをまざまざと思い知らされるような感じがいたしました。
そこで、無季俳句も少し作ってみました。

「デュビュッフェへ」
公園をのしてたまえし絵画かな

「スーチンへ」
シャルトルの坂道描きワイン飲む

天才の女が揺れて立ち尽くす

神ありて蜂の巣開けた開けゴマ

「モディリアーニへ」
アフリカよ君の女の長き首

ショミエール君のアトリエ見上げた日

開けゴマ洗濯船の門も開け

「ゴッホへ」
君はただ描いたのだろう麦畑

君のテオ隣で眠る麦畑

君が見た病院の窓鉄格子

帰ろうよ黄色の家へアルルへと

君思う独房の部屋オーヴェルで

洗面器顔を洗いし君思う

アブサンを飲んでも酔わぬ君なれば

銭なくて女を求め月一度

病人に描かせてくれと頼みけり

十八区君のプレート手を胸に

今どこに君の魂今どこに

耳切りて包帯巻きし君の顔

ゴーギャンと交換しようヒマワリを

いくたびもテオに頼みし絵の具かな

星空に霊感やどり星回る

「ランボーへ」
ランボーのボロ靴ほどけ踊るパリ

「村山実さんへ」
プロ野球村山こそが投の華

サヨナラのグラブぽっけにしまいし日

十一よ投げる姿はプロの華

担がれて春のマウンド別れの日

2025年11月11日
和田 健

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