母からの贈り物その3 ー小学校時代の絵画作品ー

Ken WADA, My Painting When I was 7 years old, Watercolor and crayon on paper
和田 健、小学校時代の僕の絵画作品、1970年、7才、紙に水彩、クレヨン
21.3×15.0 in. (54.0×38.0 cm)

(その2から続く)

う〜ん、これにはちょっと驚いたなあ、この子は色にすでに反応していますね。
その1に書きましたが、押し入れにあった緑色の箱の中に、母が整理してくれていた絵の順番の関係から、これはおそらくこの子の小一の時の作品ですね。
結局、あれですよね、三原色や補色の関係も学んでいない訳ですから、この子はただ天然で自然に描いているだけな訳ですよね。
それであれば、この子は色にすでに反応していますね。
この配色の取り合わせは、普通なかなかもってこないです。
ましてや当時のあの粗末な画材で、おそらくクラスの誰もが水彩の12色セットだったと思いますが、まあ色は少ない方が覚えるのですが、それはまだもう少し大きくなってからの先の話で、混色させながら、よくこの配色をもってきているな。
そして、半世紀以上も経ってから取り出されたにしては、色落ちや紙の焼けもなく、絵の保存状態が大変よいですね。

しかしそれにしても実に不思議な絵ですね。
これはあれでしょうか、みんなで縄跳びでもしているのでしょうか。
まず、構図が非常に特異ですね。
左下の「わ田」の隅のところがあいて間が抜けるので、よく上半身の男の子を入れてきたな。
ここの上半身だけがポイントです。
絵を観ている人の視線なり意識が、ストンと紙の下 (枠外) に落ちますから。
右下の男の子の右半身を少し切ってきているのも効いています。
そのため、パッと一目観た時には、誰もがまずは右上の緑色の男の子に目がいくと思うのですが、そのあとに右下から二人目の黄色の服を着た男の子に移って、さらに後ろ向きの唯一の女の子の方に視点が流れる構成になっています。
この子は、きっとこの女の子が好きか、少なくとも気にはなっていたんだろうな、だから男の子の心理で後ろ向き。
そして、それでもまだ恥ずかしいので、まわりの男の子みんなが、この女の子を好きなみたいな構図に無意識のうちにしている。
ごまかせないぞ、画家の眼は (笑)。

それからこの人間の全面を緑色で塗るというような、面積 (区画) で割って塗ってくるという考えを、この子はどこから思いついたのだろう。
普通、子どもでしたら、上着は何色、半ズボンは何色と、まずは決めてかかってから塗るのではないでしょうか。
結果として、とてもモダンな絵になっていますね。

61才の僕は、7才のこの子と、ちょっとだけでも話がしてみたいのですが、母もほとほと困りはてていましたが、この子はいったん外に逃したら最後、暗くなるまで外を駆け回っていて、捕まえるのはもう並大抵なことではありませんでしたので、この子と会話の機会を得ることは、実際にはかなり難しいように思います。
まあそうは言いましても、阪神タイガースの田淵さんのベースボールカードでも持っていれば、すぐにでもなんなく捕まえられますが (笑)。

(その4に続く)

2024年5月27日
和田 健

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