母からの贈り物その1 ー小学校時代の版画作品ー

Ken WADA, My Prints from Elementary School Days
和田 健、小学校時代の僕の版画作品、20.5×14.2 in. (52.0×36.0 cm)
いやもう、これはちょっと驚いたなんてものではありません。
はっきり言うて (というのは阪神タイガースの岡田監督の口癖です)、そりゃもう、びっくりしたわ。
先日、押し入れの中を整理していたら、母が緑色の箱の中に僕の幼稚園時代、小学校時代の絵画を大量に保管していてくれて、それらが一度にどっと出てきたのです。
そして、僕は今月61才になりましたので、それらの作品と半世紀以上ぶりの「ご対面」となりました。
いや〜、これには本当に驚きました、どうぞ僕の気持ちもちょっと察してあげてください。
母は、毎日外を駆けずり回って遊んでいる僕の例えばですが、幼い頃の野球帽ですとか、最初に使った小さなグローブですとか、そういうものを記念にとっておいてくれたのならまだわかるのですが、なぜ僕の絵を保管しておいてくれたのだろう?
僕は幼い頃から絵を誰かに褒められたりしたとか、認められたりしたとかいう記憶は、ほとんどありません。
現在は高齢になり、体調を崩して寝た切りになった母の在宅での介護をしておりますので、もうちょっと今となっては、大変残念ながらその理由を母に訊けませんね。
さて、上の写真ですが、僕の小学校時代の版画作品です。
大変申し訳ありませんが、まったく本人に記憶がありません (笑)。
したがいまして、もし母がこれを残しておいてくれなかったら、まったくわからなくなってしまった訳ですよね。
母に感謝です、そして、先日のこの押し入れの「一件」と言うよりかは、押し入れの「事件」とでも思わず個人的には呼びたくなるような出来事以来、自分史とでも言いますか、人生の摩訶不思議さについてとても考えさせられました。
え〜と、この版画を制作した子ですが、まあそれはもちろん僕のことなのですが、なにかあまりにもタイムスリップしてしまい、61才の初老の男が、50年以上前のまったく知らない子に、かなりの距離をおいて、第三者としての立場から客観的に話しかけるという感じに、ここはどうしてもなってしまうのですが・・・、
①この子は、まず集中力がありますね、一目観てぱっとそう思いました。
現役の画家が言っているのですから、一応、間違いありません (笑)。
集中力だけは教えられませんから、それはないよりはあった方がいいです。
これは野球で言えば、足が速くて、肩が強いことに相当します。
これだけは教えられませんので、劣っている場合はどうするかと言いますと、繰り返し鍛えて平均的なレベルにまでなんとかもっていき、チームに穴をあけないようにする訳です。
②この子は、余計なものを削ぎ落として、モデルの中のなにかを探り出そう、なにかの真実を子供なりに見つけ出そうとしていますね、これも観てぱっとそう思いました。
そう言えば、この子は、テレビドラマで女優さんが泣いていると、よくテレビの前で「この女優さんの涙は本物か嘘か!」と決まってテレビに向かって大きな声で言う変わった子でした。
③この子は、シンメトリーですね、左右対称の面白さにすでに気づいていて、かなり神経質なまでにそれに引き込まれていますね。
でもまあこの話は、実はそれだけでは終わらなかったんです (笑)。
(その2に続く)
2024年5月23日
和田 健
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