連続森の中のリアルタイム童話第1回:「ライだよ、」

山奥の子猫、2014年10月、北軽井沢 作品 No.152、紙に水彩、24.2×33.3 cm

連続森の中のリアルタイム童話第1回:「ライだよ、」
語り手:和田 雷
聞き手:和田 健
絵:和田 健
登場人物・動物
・黒猫の子猫で語り手の雷 3ヶ月
・やさしいきれいな猫の楢姉ちゃん 1才
・お父さん
・お母さん
・煙突掃除のやさしいお兄ちゃん
・雷を守る雌鶏の二三姉ちゃん 5才と 9羽の雌鶏のお姉ちゃんたち 1才
・雷が憧れるかっこいい猫のもみ兄ちゃん 1才
・大きな柴犬の喜久姉ちゃん もうすぐ 9才

ライだよ、なまえはおとうさんがつけてくれたんだ、ジュウサンカクだからいいなまえだぞって、おとうさんはいっていた。
ならねえちゃんもジュウサンカクなんだって、ジュウサンカクってなんのことだかわからないけれど、なんかすごくいいひびきだな、とってもかっこいいや。
それに、ならねえちゃんはすんごくやさしいから、ならねえちゃんといっしょっていうのがまたいいな。
ぼくはしにそうだったんだけれど、おとうさんがどうぶつびょういんにつれていってくれて、まいにちさんかい、めぐすりとかぜぐすりをしてもらっているんだ。
それですこしくしゃみがでなくなって、はなじるはとまってきたんだけれど、めがまだまだで、めやにがすごいんだ、おとうさんはふいてもふいてもなおらないなっていっていた。
ぼくはうまれてからずーっとこれまでもりのなかでのらをしてきたんだ、それでもうさんかげつたったんだって、だからキタナイってなんのことだかよくわからないんだけれど、いままでときどきニンゲンにあうと、いつもキタナイ、バイキンっていわれて、みんなぼくのことをさけるんだ。
ぼくはどうしてなんだろうとずーっとおもってた。それでかんがえてかんがえて、かなしいっていうのはきっとこういうことなんだなっていうことがよくわかった。そんで、さいごしにそうになって、おとうさんのところへいったら、おとうさんとおかあさんとそれからこのあいだ、えんとつそうじのおにいちゃんがきたんだけれど、みんなたすけてくれたんだ。
えんとつそうじのおにいちゃんは、ぼくのおなかについていたおちばまでわざわざとってくれて、ねこがにわとりといっしょにいるなんてめずらしいねって、そうっといってくれた。
そうなんだ、ぼくはいっつもいちにちじゅう、にわとりごやのすみっこで、にわとりのふみねえちゃんたちをみながらひとりでかんがえているんだ。ひとりでいるときは、かんがえていることがいちばんいいんだ、だってだれにもめいわくはかけないし、じかんだっていくらでもつぶせるし、おかねだっていちえんもかからないんだ。のらをしていたとき、みちでごえんだまをみつけたんだけれど、あながあいているだけでぜんぜんおもしろくないからすぐにすてちゃった。
ときどき、やさしいならねえちゃんがきて、かまってすこしあそんでくれるよ、でもぼくはまだはやくはしれないから、おにごっこをしてても、ならねえちゃんはすぐにあきてどこかへいってしまうんだ。
それからぼくのあこがれはもみにいちゃんで、それはすっごくかっこいいんだ、やねからやねにひょいととびうつちゃって、ぼくもいつかあんなふうになりたいなあ、そんけいしちゃうなあ、でももみにいちゃんにはまだいちどもはなしかけてもらったことがないんだ、おまえなんかまだシュギョウがたりないって、もみにいちゃんはじっとめでいうんだ、でもシュギョウっていったいなんだろう。このあいだ、もみにいちゃんのまねをして、すこしだけきのぼりをしてみたよ、それをみていたおかあさんがやさしくわらってくれた。
それからならねえちゃんにきいたんだけれど、おおきなしばいぬのきくねえちゃんがいるんだって、このあいだすこしあって、びっくりしちゃったんだけれど、おおきすぎてかおがよくみえないんだよ、でもならねえちゃんはわがやでいちばんえらいのは、きくねえちゃんなんだぞっていっていた、おまえいいかい、いくらちいさくても、そこんところはしっかりわきまえていなくちゃいけないよ、カゾクなんだからって、いわれたんだ。すっごくふしぎだなんだけれど、おもってたよりたいへんなんだなあ、カゾクになるのって。
のらをしていたときは、カゾクになりたくて、そりゃもうゆめにまででてくるくらいになりたくてしょうがなくて、よるになっていえのあかりがつくと、わあ〜きれいでいいなあとおもってた、あのなかにぼくもはいりたいなあ、きっとあたたかくてたのしいだろうなあって。いえのなかはあめもふんないし、よるはみんなでごはんをたべて、きょうあったことをじゅんばんにおはなししたりするんだろうなって。でもぼくはキタナイからカゾクはむりだろうなっていっつもあきらめていたんだ。それでかんがえてかんがえて、さびしいっていうのはきっとこういうことなんだなっていうことがみにしみてよくわかったんだ。
このごろおとうさんはライはこえがとてもいいっていうんだ、びょうきがなおったら、ショウライ、おんなのこにもてるぞって、でもショウライってなんだろう。ぼくはおんなのこなんかにまるできょうみはないけれど、それでもやっぱりもてるんなら、ならねえちゃんみたいなやさしいきれいなこがいいな。でもこのままここで、にわとりのふみねえちゃんたちのよこでごはんがもらえたら、それがいちばんいいな、でももうびょうきだけはしないようにしたいな、すっごくくるしかったから。
それからおとうさんは、もしかしたらこのこはあたまがすごくいいかもしれないっていうんだ。
だけどおとうさんとおかあさんがどうしてやさしくしてくれるのかはぼくにもわからないな、そうだ、こんどならねえちゃんにきいてみよう、どうしてかなって。
(つづく)

今後の不定期の掲載予定:
第2回:「ライのカゾクでびゅー」
第3回:「きくねえちゃんのサンポ」
第4回:「もみにいちゃんのハタシアイ」
第5回:「ライのふらんすゴ」(全5話完結)

ライだよ、ぼくのゆーちゅーぶができたよ、いえへきたばかりのときに、おとうさんがとってくれたんだ。ゆーちゅーぶってなんのことだかわからないけれど、のらをしていたときは、そんなもんにでるなんてゆめにもおもわなかったな。おもってもみなかったことは、よくおこるんだぞって、おとうさんはいっていた。まあいいや、やさしいならねえちゃんといっしょだから、じゃあね!

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